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平成卑合併で鏡野町になっている旧富村。岡山生まれのわっちも大人になるまでその名前を知らなかったくらいで温泉があるでなしスキー場があるでなし、地味もええとこの村ではありますがどっこい発電所がありました。しかも旭川筋はもちろん県内でも最古株の大正生まれ。ちなみに道路から離れたところにありまして車からは水圧鉄管しか見えません。
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こんな人目に付かない山の陰で幾星霜を閲しつつ電気を作り続けてるんですねー 建屋のアップ。建物自体は農業倉庫風のコンクリ造ですが妻面が鉄板張りになってますねー これはたぶん後年の改造です。画面右手に半分ほど写ってる小屋はトイレ。無人ではあっても職員さんが巡回に来ますんで中電の場合どの発電所でもトイレは備わってるそうです。
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水圧鉄管。上の方にヘッドタンクらしい物が見えます。夏とはいえど片田舎。一応点検するための道は付いてるみたいでしたがこのザマじゃあねー 中電さんでも登る気にはなれませんわね。
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鉄管に貼られていた銘板。上の方に何やベチャッとしたのがいてますねー
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こいつです。背骨が抜けたトノサマガエルみたいでわっち宅の近所ではあんまり見かけない形ですが県北特産なんかもわかりません。カメラのレンズを近づけても指一本動かすどころか瞬きもしませんわ。大物ですねー 気持ちよさそうに半目を開けてますし冷え冷えの水圧鉄管で涼んでるのかも知れません。
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矢印の部分が放水口。流れ込んでる水は渓流や思いますが余水吐きを兼ねてるかも知れません。ご覧の通りきれいな水でカエル大親分も安心して番が出来ると思います。
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渓流導水路の壁。赤いのがこびりついてるのはコケか何かでした。
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発電所の取り付け口にあった行灯。大物のカエルが番をしてる小さな発電所はこちらです。
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発電所から旧富村役場の方へ登っていくとこの小さいダムが見えます。
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下流から見た様子。分類上では取水えん堤になりましてダムとはいえませんけどこの川幅だとけっこうゴツく見えます。右手に魚道が見えますねー
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水門小屋の下にある柵が取水口です。無人になってもこういう施設は撤去しないで残しとくんですねー リモートシステムが故障したときの備えなんかもわかりません。
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場面変わりまして取水ダムから発電所への水路編。踏み分け道みたいなのは暗渠のフタ。この下に水が流れてます。
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これは沈砂池いいまして、いったん流れを止めて水と一緒に流れてきた泥や小石を沈ませる施設です。ある程度たまると土砂吐きいう水門を開けて底ざらえするようになってます。ダムを長年使ってますとだんだん土砂がたまって底が浅くなりまして、そうなると水路に土砂がたくさん入り込むらしいです。このダムもだいぶ埋まってました。
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これがその土砂吐き。県内最古参だけにこういう部分にも貫録が備わってますねー
この発電所を計画したのは美作電化工業いう会社。第一次大戦で需要が急増したカーバイドを作る会社です。カーバイドは水をたらすとアセチレンガスを発生しましてこれがガスランプの燃料になるわけ。塹壕なんかで使われたらしいですが生産開始早々戦争が終わってしまいまして当てが外れましたんで電力事業に手を出したそうですわ。
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余水吐き。余分に取った水はここから溢れて川に戻されます。昔の発電所は下流の都合も関係なしに川の水を根こそぎ取っていたらしいですが今は非常にやかましくて取水堰での一定量放流を義務づけられているのはもちろん発電機の冷却や発電所で細々使う水なんかも発電用水とは別建てで申請しないとダメらしいです。
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余水吐きと土砂吐きの放水路。それにしても銭にもならんのにクソ暑いさなかこんな山奥に車を飛ばして蚊に食われながら草深い水路なんか写真に撮ったりして我ながら何してんのやろ思います。
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白い防護柵が暗渠水路です。このすぐ先に上の取水堰があります。
美作電化工業はこの発電所を造る見返りとして富村に電灯線を引く約束をしてましたが建設中にこの会社を吸収した岡山水電、のちの中国水力電気は発電所が完成してからも電灯線の方は放ったらかしてました。村では契約を実行するよう再三交渉して電灯線が実際に引かれたのは発電所が出来た4年後だったそうです。
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ここに限らずいろんな市町村史をひも解きますと発電所の計画当初はこれからお世話になります…と下手に出ておきながら実際出来てしまうと高姿勢に変じてトボけたり居直ったりして契約内容を守らず所在町村との関係を悪化させた電力会社が多いみたいなんです。引いてくれるはずの電灯を放ったらかしにしていた、最初の取り決めより余分に水を抜いて枯れ川同然にしてしまった等々…
いま企業モラルがどうこう言われますけど別に今の人が腐りきってて昔の人が高潔だったわけでは全然ないですよ。ていうか昔は今みたいにうるさくなくて明文化された規制がなかった分やりたい放題だったに違いないです。目立たなかったか「違法でなかった」だけでね。昭和がどうとか戦前は良かったとか過ぎ去った時代に自分の願望を投影させるのはやめたほうがええ思いますけどねー
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参考文献
中国地方の水力発電所:中国電力株式会社
中国地方電気事業史:中国地方電気事業史編集委員会
富村史:富村
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