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このえん堤は見つけるのに骨が折れまして車からは気配すら伺えませんでした。地形図を信じて歩いて探し回った末か細い踏分け道をたどってようやく発見。鬱蒼とした谷間にひっそり息づく秘境中の秘境えん堤ですわ。多少涼しくなったとはいえまだ夏の名残で草木が生い茂ってますんで蛇にビビリながら近づいていきました。
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河原に下りて撮ったえん堤前景。ちっさぁ〜! けど一丁前に排砂水門を装備しています。小さいとはいえ80年の昔、よくぞよくぞこんなところにダムおよびトンネル水路を作ったもんですわ。先人は偉大ですねー
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その排砂水門。えん堤はとっくに首まで埋まってまして取水口に水を誘導するだけの機能しかなさそうでした。ですんで水が溜まらずキレイなまま流れていきます。
もう一方の土用ダムは実質的に単なるプールでして、あまり放流せんと貯水池の水を上げたり下げたり使い回ししてますんで相当汚れてるはずです。山並み一つ隔てて対照的な水の使い方を見ることが出来ます。
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えん堤越しに上流を望む。期待はしてましたけどここまで秀逸なえん堤とは思ってませんでした。中電さんもええもん持ってはりますねー 土用ダムは要するにため池の土手ですし水力ファン的にはこっちの方がよっぽど見物ですわ。
見つかればの話ですが。
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えん堤左岸の石積み。えん堤は後年補修されてるみたいですがこっちはさすが80年の歴史を感じさせましてほとんど自然と同化しています。下流側ほど古びてまして朝鮮式山城の遺跡に近いものがありました。
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石垣を這い上がって上から上流側を見た様子。金網越しに腕を伸ばしてメクラでシャッターを押しました。えん堤の埋まり具合がおわかりいただけると思います。中電の持ち物だけに小さくても発電用えん堤のムードが漂ってまして農業用とは存在感が違います。
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取水口のアップ。簡単なスクリーンいうか柵が付いてるだけ。最上流部だけにゴミの心配はそんなにせんでもええみたいです。それにしてもキレイな水ですねー しばらく聞きほれていたいようなせせらぎの音ですわ。水力ファンの桃源郷とでもいいますか。
県内の発電所を取材し終えたらベスト発電所&えん堤を選出するつもりですがここは間違いなくトップスリーに入りますわ。
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えん堤から下流を望む。ただでさえか細い流れなのに水を抜かれますとこのとおり涸れ川同然になってしまいます。しかし発電所は1キロしか離れてませんので水はすぐ戻ります。
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これで発電所とえん堤の取材は終わりですがこのあと更なるエキサイトメントが待ち受けてました。
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まさに水力ファンの心象風景と申すべきえん堤を後にさっきの道を戻ってますとなんとなく踏分け道みたいなのがもう1本川に沿って伸びてるのを見つけました。 それをたどると先の方がこんな感じに変わって…
その道に ピンときたら 筋の者
これ水路のフタちゃう? そういえば沈砂はどないしとるんやろ…
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その道を歩いていきますと現れたのがこれ。もしかして沈砂池? いや沈砂槽?? 随喜の電撃が背中を通り抜けます。
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この喜びは素人さんには理解していただけないかもわかりませんので説明いたしますとだいたいこの規模の発電所はえん堤に沈砂施設がくっついてることが多いんですわ。それがここの場合は水路の途中の全然見当も付かんところにあったわけですからねー それを己の嗅覚だけで探し当てたことに興奮してるわけです。
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この通り小さいながら土砂吐きと余水の越流堤が備わってます。嬉しいくらいにいっちょまえですねー でも越流堤の方は新しいフタがしてありますんで最近は取水門の方で絞ることにしたんかもわかりません。水の取り過ぎがバレてやかましいですからねー
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土砂吐き前を流れる新庄川。えん堤からここまでの間に小さな渓流が合流してまして水量は早々と回復してました。
この発電所を造った作陽水力電気は社長が当時の村長でもありまして実質的には村営に近いものだったみたいです。この小さい発電所で蒜山の辺まで配電してたいう話ですわ。自前の電気を他村に売って儲けたわけですからこの村長はなかなかやり手だったようですねー
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同地点から上流を望む。ところで平成卑合併に走った自治体は懐事情でやむを得ず…いうところが多いみたいですが新庄村はあんまりお金に困っとらんのやそうです。そのお金はやっぱり電気関係から湧いてくるとかで、土用ダムもそうですし島根原発からの送電線を支える鉄塔が1本あたり何百万かの銭をもたらすので合併による国の優遇措置やら何やらに頼る必要がない…いう話を村内の食堂でホルモン食いながら聞きました。メルヘンの里は今も昔も何かと電気に縁由の深い県境の小村なのです。
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参考文献
中国地方の水力発電所:中国電力株式会社
中国地方電気事業史:中国地方電気事業史編集委員会
くらしと電気の1世紀:岡山地区電気事業100周年記念事業実行委員会
おかやまの河川開発:岡山県土木部河川開発室
新庄村史:新庄村
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